芸能

堺雅人の「半沢様式」 視聴者を待たせて「倍返し」に成功

待望の続編はロケットスタートに成功

 録画視聴や見逃し配信が一般化した今日、この出足は番宣がうまく行った、というレベルで達成されるようなものではないはずだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 いよいよドラマ『半沢直樹』(TBS系日曜午後9時)がスタートしました。池井戸潤氏の原作、7年ぶりの続編ということで、視聴者の期待が大爆発。第一話の平均視聴率は22.0%という凄い数字になりました。

 今回の半沢直樹(堺雅人)はバンカーでなく、東京中央銀行の子会社・東京セントラル証券へ出向を命じられ営業企画部部長に。そこへ大手IT企業・電脳雑伎集団から大型買収アドバイザー依頼が舞い込んだ。しかし、大和田常務(香川照之)の忠実な部下、伊佐山(市川猿之助)は半沢を敵視しことごとく行く手を阻む。だが半沢も黙ってはいない。いかなる反転攻勢を遂げるのか……。

 待ってました! 「やられたらやり返す。倍返しだ!」の決めゼリフ、何度聞いても爽快で視聴者をシビれさせてくれます。

 今回は大和田常務役・香川さんに加えて歌舞伎界から伊佐山役の市川猿之助さん、そして瀬名役・尾上松也さんも参戦です。

 悪辣な代官さながら、ふんぞり返る伊佐山の鼻を如何にしてあかしてみせるのか。みんな固唾を飲んで待ちうける。大手金融機関内での抗争劇で正義の味方「半沢直樹」が最後に勝つという、いわば勧善懲悪劇ですから、ドラマの構造は前作と共通しています。

 しかしやっぱり見てしまう。画面に惹き付けられてしまうのはなぜなのか? いったいドラマを通して私たちは何を楽しんでいるのでしょうか。何を味わっているのでしょう?

 今回の『半沢直樹』をじいっと見つめると、あらためて堺雅人という役者のパワーと独自性に舌を巻きます。明らかに際立っている点があります。

 かっちりと決めた姿勢です。

 あごを引いて上目使い、肩を張り胸を開く。口をキリリと結ぶ。不用意に顔を動かさない。その姿勢を意図して維持する。いわば半沢の型、半沢様式です。

 それによって何が得られるかと言えば、圧倒的な目力でしょう。顔も体も動かない分、ちょっと瞳を動かすだけでも非常に際立つ。静かに佇んで語るシーンでさえ、内に溜めてきたマグマのようなものが噴出しているのが伝わってくる。

 堺さんの中にある高いテンション、緊張感、ギリギリの意志のようなものが目を通してはっきりとこちらへ届くのです。「とても静かに、見得を切っている」堺さんの姿。私たち視聴者はそれに惹き付けられて釘付けになってしまうのです。

 歌舞伎俳優が複数起用されるのは堺さんの演技に対抗するためでもある、という記事を目にしました。ということは、堺雅人は「一人松竹」のようなもの。歌舞伎界が束になってかからないとならないテンションとパワーを持っている、とも言えそうです。

関連記事

トピックス

佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
大型特番に次々と出演する明石家さんま
《大型特番の切り札で連続出演》明石家さんまの現在地 日テレ“春のキーマン”に指名、今年70歳でもオファー続く理由
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト