電車の中でギャン泣きをしたと思ったら、今度はスーパーの床に転がって大暴れ。周囲の冷ややかな視線に耐えきれず、子供に厳しくあたってしまう親は少なくないのでは? これまでに20万人の子供を診療してきたベテラン小児科医・松永正訓さんに、叱らずに子供を伸ばす育児を聞きました。
【教えてくれたのは…】
『松永クリニック小児科・小児外科』院長
松永正訓さん/千葉大学医学部附属病院に19年間勤務した後、クリニックを開院。日本小児外科学会・会長特別表彰など受賞歴多数。 2013年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
●まずは3つの行動に分類する。
【1】好ましい行動か?
【2】好ましくない行動か?
【3】絶対やめさせたい行動か?
親は子供の行動を上記の3つに分類して対応を。【1】の場合はほめることが原則。笑顔で肯定的な言葉をかけることを忘れずに。
Q:家でも外でも食事中に歩き回って座りません。行儀が悪いので、きちんと椅子に座って食べてもらいたいのですが…。(28才・子は3才女児)
【松永さんのアドバイス】
食事中や外食先で何度言っても立ち歩きが直らない。これは【2】と【3】の中間になりますが、立ち歩きが直らないという1点だけに注目するのでなく、そこまでの行程を見ていくことが大切です。
外食なら店に着くまでの車の中、テーブルに座るまでの待ち時間、料理が出るまでと出た後。すべての流れの中から問題を細分化すると、車内ではおとなしく乗っていられたとか、待合室ではじっと待っていたなど、子供がきちんとできていることも見えてくるはず。そこをしっかりくみ取って、できたことはすかさずほめる。子供は自分にできたことをほめられたという喜びを実感します。普段からネガティブなところばかりに目をつけて怒ってばかりでは、子供も嫌気がさしてしまいます。「ちゃんと座って待っていられたね。うれしいよ」と声かけしながら、「できない」が「できる」に変わるようにしてあげましょう。