コロナ禍の拡大に歯止めがかからない。東京都の累計感染者数は1万3000人を超え、1日の新規感染者数は400人超えも“日常”になってきた。そんな東京に異変が起きている。これまで人口流入が続き一極集中が加速してきたのに、コロナ禍拡大が続く中で、人口減少が起きているのだ。とりわけ「夜の街」と名指しされ、感染者数も多い新宿の変動が激しい。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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人口が1400万人近いメガシティに大異変が起きている。東京都の人口が減り始めているのだ。論より証拠。都のサイトにアップされている6月1日現在の「住民基本台帳による世帯と人口」を見てみよう。
日本人と外国人を合わせた人口総数は1388万2857人で、5月に比べ3405人の減少となっている。前年の6月1日現在のデータを見ると、前月比で人口総数は7955人の増加、前々年も約1万1000人の増加だから、明らかに今年はおかしい。
東京住民の転出超過は東日本大震災以来
総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、緊急事態宣言下にあった5月の人口移動に劇的な変化があった。東京都では転出者数が転入者数を1069人上回り、外国人を含む移動者数の集計を開始した2013年7月以降、初めて転出超過となったのだ。日本人だけをみても、東日本大震災、福島第一原発事故の影響があった2011年7月以来の転出超過(509人)となった。
6月は1669人の転入超過に戻ったが、昨年の半分程度の水準だ。人口が過密な特別区部(23区)に限ってみれば、5月は1314人の転出超過となった。6月は828人の転入超過だが、前年の2845人と比べ3割にも満たない。転入者数が前年6月と比べ680人減り、転出者数は約1300人増えている。まるで東京が避けられているかのようだ。
東京都の人口データ(都のサイト)をもう少し詳しく見てみよう。驚いたことに23区のうち、実に17区で5月よりも人口が減っているのである。減少が多い区は新宿区が528人で断トツ。以下、江戸川区、板橋区、大田区、港区の順だ。
コロナ感染者数(累計)が圧倒的に多い新宿区から人々が次々と逃げ出しているのだろうか。ここで注意したいのが、人口減の内訳。東京都の人口減のうち日本人は371人で、外国人が3034人。減少の9割近くは外国人住民なのである。ちなみに都内の外国人は2月以降は毎月減り続け、6月1日現在では56万3422人。4か月で1万5000人以上も減っている。