半年ぶりに観客を入れて開催される本場所となった大相撲7月場所。コロナ禍で相撲協会も様々な対応を迫られる状況が続いてきた。とりわけ世間に衝撃を与えたのは、5月13日に三段目力士・勝武士が新型コロナに感染して死亡したことだろう。所属していた高田川部屋はこの間、コロナ対応で翻弄されてきた。
相撲協会が5月場所の中止を判断する決定打となったとされるのが、4月25日に高田川親方(元関脇・安芸乃島)らの感染が発覚したことだ。相撲担当記者が語る。
「5月場所中止の発表は、政府の緊急事態宣言延長を受けて5月4日に行なわれたが、4月25日に高田川親方と弟子の十両・白鷹山を含む6人の新型コロナ陽性が出ていたことが大きかった。4月10日の時点で感染が判明していた幕下力士を含め、7人の感染者が出ていたことになる。協会は幕下以下の力士については、四股名はおろか所属部屋も公表しない姿勢に終始しているが、高田川部屋でクラスター(小規模な患者集団)が発生したとみられていた」
そうしたなかで、高田川部屋の力士にコロナ感染による死者が出てしまったわけだ。高田川部屋に所属する力士は、幕内の輝と竜電、十両での白鷹山に加え、幕下3人、三段目10人、序二段4人、序ノ口3人の23人で、全員が7月場所に出場。初日には部屋の関取3人全員が勝利し、スポーツ紙には“勝武士に捧げた白星”と大きく取り上げられた。
「高田川親方も審判部副部長として復帰しています。メディアとしては勝武士と同じ山梨県出身の1学年先輩で、付け人も務めてもらっていた竜電の活躍を期待していたが、2日目からいきなり4連敗してしまった」(同前)
とはいえ、7月場所は調整不足などもあってか休場する力士が多い中、高田川部屋の力士たちは揃って出場を続けた。だが、唯一休場しているのが高田川部屋付の立行司である式守伊之助だ。