新型コロナ対策で支持率が低下する安倍政権が目論んでいると言われる「10・25総選挙」。その背景に何があるのか。
政界に「9月解散、10月総選挙」との見方が広がると、与野党の議員は一斉に地元に戻って選挙区を回っている。そこにコロナの“第2波”が襲ってきた。東海ブロックの自民党中堅議員が悲鳴を上げる。
「どこにいっても支援者から“どうしてこんな時期に県外から観光客を呼ぶのか”とGo To キャンペーンへの批判を受ける。これほどの逆風を感じるのは安倍政権になってから初めてだ」
コロナ自粛で全国の商店街、旅館やホテル、飲食店、土産物店などの観光業界は大きな打撃を受けた。いずれも伝統的に自民党の支持基盤として知られる。
そこで安倍政権は過去例のない1兆7000億円もの予算を組んで旅行代金の半額を補助する観光刺激策Go To キャンペーンを前倒しでスタートさせたが、感染拡大で東京発着が適用除外に追い込まれたうえ、今後、除外地域のさらなる拡大も予想される。
「本来であればGo To キャンペーンは地方経済にお金を落とす最大の選挙対策になるはずだったが、タイミングを誤ったために完全に裏目に出た」(自民党幹部)
安倍晋三・首相周辺では菅義偉・官房長官が年内の解散総選挙について「なかなか難しい」と発言するなど総選挙慎重論が強まっているが、首相に解散を強く進言しているとされる麻生太郎・副総理は、逆風をはね返す“奥の手”を準備している。麻生側近議員の話。
「麻生さんは解散を躊躇する安倍総理の背中を押すため、コロナの景気対策として年内に消費税率を5%に引き下げることを考えている。期間は2年間に限定。財源は1年分で12兆円必要になるが、2次補正予算で10兆円の予備費を積んでいるから今年度分はまかなえる。これは最初から選挙対策を想定していたお金だ。来年分は年末の予算編成で措置すればいい」