今年2月、東アフリカで突如、サバクトビバッタが大発生。その大群は農作物を食い荒らしながら移動し、アフリカ北東部から中東、パキスタン、6月末にはインドの首都ニューデリー近郊にまで飛来。
彼らは、毎日自分と同じ体重のエサ(約2g)を食べるため、1平方キロメートルの小さい群れでも、1日で約3万5000人分もの食料を消費すると推定されている。そのため国際連合食糧農業機関(FAO)は、スーダンやエチオピアなど、アフリカ東部の6か国で、約2500万人が食糧危機に直面していると報告した。
全長5cm前後と巨大なこのバッタは、移動距離が長く、飛ぶ速度も速いため、急激に被害が拡大しており、すでにインドまで来ている。隣接する中国は警戒を強めているというが、FAOの情報によると、7月15日現在、いまだ侵入したという情報はない。
というのも、寒さに弱いサバクトビバッタが標高の高いヒマラヤ山脈を越せないからとの説が有力だ。いますぐ日本を襲来する心配はなさそうだが、安心してはいられない。日本には日本のバッタによる蝗害(バッタの大発生に伴う大規模な農作物などの被害)の可能性があるからだ。
日本にサバクトビバッタは生息していないが、過去にトノサマバッタなどが何度も蝗害を発生させている。
「19世紀以降では、北海道や南西諸島などで蝗害が発生しています。というのも、バッタは開拓などでできた広大な草原と気温30℃前後の好天を好むからです」(あつぎ郷土博物館学芸員・槐真史さん・以下同)
バッタは背の高い草木を好まず、人間のひざ丈くらいの草が生えた草原を好む。そのため、北海道の開拓地や、空港建設のための広大な原っぱなどはバッタにとって居心地がよく、大量発生の原因になるという。