中国の習近平国家主席が8月11日、何の前触れもなく、「贅沢禁止令」を打ち出したことが様々な憶測を生んでいる。なぜならば、習氏が贅沢禁止令を打ち出すのは2013年1月以来、7年ぶりだからだ。
前回では「トラだろうが、ハエだろうが叩き潰す」と反腐敗闘争とともに、贅沢禁止令を打ち出しており、今回も再び政治闘争が激化する前兆との見方がある。その一方、米中対立の激化で、米国からの食糧輸入が難しくなるため、単に「食糧を大事にしよう」との号令としての意味合いしかないという見方も出ている。
中国共産党内部では現在、米中対立激化で習氏の外交方針に反対する声も出ていることから、今回の贅沢禁止令が政治体制の締め付け強化につながることを懸念する見方もある。
新華社電によると、習氏は「飲食の浪費現象は深刻で、心を痛めることである。中国の食糧生産は豊作が何年も続いているが、食糧安全保障については一貫して危機意識を持たなければならない。特に今年、新型コロナウイルス感染症の世界的流行がもたらした影響は、われわれに警鐘を鳴らしている」と指摘。
そのうえで、習氏は「また、立法と監督管理を強化し、効果的な措置を講じ、長期的かつ有効な仕組みを確立して、飲食の浪費行為を断固として制止しなければならない。宣伝・教育を一段と強め、節約の習慣を確実に培い、社会全体で浪費は恥ずべきもの、節約は栄えあるものという雰囲気をつくらなければならない」と強調したという。