高齢の初心者でも気軽に楽しめるウクレレが密かなブーム。4本の弦をつま弾くだけで、温かなハーモニーがコロナで凹んだ心を元気にしてくれる。日本を代表するウクレレ奏者としても知られる高木ブーさん(87才)に、その魅力を聞いた。
ブーさんが初めてウクレレを手にしたのは15才のとき。ハワイアンフリークだった兄からの誕生日プレゼントだった。
「終戦からわずか3年、何もない時代ですよ。楽器など触ったこともないし、しばらく放っておいたんだけど、夏祭りで地元の有志でハワイアンを演奏することになって。“とにかく楽器を持っている人、全員集合!”ってことで(笑い)集められたんです」
ウクレレやギターを持った6人が集まり、スチールギターを弾くリーダーからウクレレの手ほどきを受けたという。
「ハワイアンはだいたい3つか4つのコードで弾けるんだけど、そこはずぶの素人中学生。ステージでは1つのコードを鳴らすので精一杯でした。それでも拍手喝采されて、すっかり“その気”になった。生のウクレレなど初めて聴く人も多かったと思うけど、音色が温かいでしょ。ウクレレを教えてくれたリーダーもよく『ハワイにいる気分になるよ。行ったことはないけどな』って言ってたな(笑い)」
当時よく練習したのは、ハワイ民謡『マリヒニ・メレ』や、故・牧伸二さんのウクレレ漫談でもおなじみの『タフワフワイ』など。
大学在学中にはハワイアンバンドを結成してウクレレ奏者として名を馳せ、ライブやウクレレ教室も開催。また、ハワイでも最高の名誉といわれるウクレレフェスティバルにも、プロ奏者として招聘されるほどの腕前だ。
「ドリフターズではギター担当でしたが、コントの雷様のときもウクレレ! もう長いつきあいになりましたね」