新型コロナは、日本の医療体制に甚大なダメージを与えた。緊急事態宣言が出された4月以降、東京では病床がみるみる埋まり、患者の増加に医療提供体制が追いつかず、救える命を救えなくなる医療崩壊の危機が叫ばれた。
同時にマスクなどの医療資源が不足し、感染対策もままならないまま、多くの医師や看護師が医療現場に駆り出され、心身をすり減らしながら治療に当たった。
第2波は大都市から地方に波及した。中でも沖縄は医療体制が逼迫し、8月2日時点で県内の病床利用率は129.9%に達し、医療従事者が不足する状態にある。
加えて病院経営の悪化も顕著だ。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の調査では、新型コロナ患者を受け入れた全国500弱の病院のうち、約8割が4~6月のいずれも赤字となった。
新型コロナ患者への対応で病床数を減らし、他の新規患者が減ったことが主な要因とされる。そうした危機にあたって、政治のリーダーシップは全く発揮されていない。さらにはコロナ禍において、国は国民の命と健康を守る病院を減らそうとしているのだ。
コロナの裏で「病院を減らす」
7都府県に緊急事態宣言が出てから3日が経った4月10日。衆院厚労委員会で、野党議員が厚労省の進める公立・公的病院再編統合について質問をぶつけていた。ジャーナリストの山田稔氏が指摘する。