重症化や死亡リスクのみならず、最近は「後遺症リスク」も指摘されている新型コロナウイルス。インフルエンザなどと同様に予防できるよう「ワクチン」の開発が急ピッチで進む。だが、問題は“開発後”にも──。
WHO(世界保健機関)によれば7月末時点で、世界で開発中のワクチン候補は165種類。そのうち治験に入ったものは26種類ある。数千~数万人規模を対象にした「第三相」まで到達しているもののひとつが、イギリスの製薬大手「アストラゼネカ」のものだ。『ワクチン診療入門』の著書があるナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師によれば、このワクチンは、“新しいタイプ”だという。
「ワクチンには病原体の毒性を弱めた“生ワクチン”と、病原体の活性を弱めた“不活化ワクチン”がありますが、アストラゼネカのワクチンはそのどちらでもなく、遺伝子を操作したもの。本来は治験データを数年は見なければいけませんが、今回はかなり急いでいる」
世界的な感染拡大を止めるため、急ピッチでワクチンの開発が進んでいる。そんな中、日本政府はアストラゼネカと1億2000万回分の供給を受けることで合意。加藤勝信厚労相は「2021年3月までには3000万回分を確保する」と発表した。
だが、同社のワクチンは「1回か2回打つ」(谷本医師)とされる。“2回”となれば、接種できるのは1500万人。日本人の“8人に1人”だ。
まず55歳以下から?
では、「誰が先に」ワクチンを受けられるのか。