大相撲の世界を支える「おかみさん」とは部屋持ち親方の妻のことを呼ぶ。部屋の全力士の母親役、しつけ役などを担い、部屋を会社にたとえるなら親方が“社長兼事業責任者”で、おかみさんは“副社長兼管理責任者”というところだ。ところが世間的には「主婦」という立場で、その重責をよく理解しないまま、おかみさんになってしまいトラブルに発展することもある。
8月4日、式秀部屋の力士9人が部屋を飛び出し、カラオケボックスから相撲協会の通報窓口に連絡。「おかみさんのモラハラ」を訴えたのだ。「後援者が差し入れた新米をおかみさんが実家や知人に送り、弟子には古米を食べさせていた」といった不満も噴出したのだ。なぜ、おかみさんを巡るトラブルが起きるのか。
昔の力士は相撲茶屋関係者やタニマチの娘と結婚することが多かった。それゆえ、本人や家族がおかみさんの激務に理解があった。
「他にも親方の娘と部屋の力士が結婚するパターンがある。部屋の出世頭が婿養子になれば、確実に部屋を継いでいける。現在の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)がそうで、おかみさんは先代(元横綱・琴櫻)の娘。先代のおかみさんも宮崎の勧進元のお嬢さんだった。相撲に理解のあるおかみさんが続き、佐渡ヶ嶽部屋は1965年の部屋別総当たり制になって以降、幕内力士を出し続ける唯一の部屋という伝統を守っている」(ベテラン記者)
一方、近年は力士の自由恋愛が増え、その結果、おかみさんの経歴も“多様化”が進んだ。二所ノ関一門の後援者がいう。