新型コロナによるテレワーク普及などの影響もあり、東京で“オフィス離れ”が進んでいる。オフィス仲介大手の三鬼商事によれば、都心部にあるオフィスの7月の平均空室率は2.77%で、21か月ぶりに2%を超えたという。では、今後オフィス需要が最も減退するエリアはどこか。不動産ジャーナリストの榊淳司氏が予測する。
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コロナは不動産市場の様々な側面に確実な変化をもたらしている。そのひとつが、東京都心のオフィス賃貸市場ではないか。
まず、今後本格化するであろうコロナ不況によって、企業のオフィス需要自体が減退することが確実視される。内閣府の発表によると、日本の景気は2018年10月に拡大を終えて調整期に入っていた。にもかかわらず2019年の10月には消費増税を強行。日本経済はただでさえ不況に陥る軌道を走っていたのだ。
そこへ新型コロナが襲いかかった。緊急事態宣言が出されたのは2020年の4月。日本経済はそこから約2か月間、強い制約下に置かれた状態となった。
政府はかなり強力な景気対策を行った。全国民に一人10万円を給付。事業所には持続化給付金として最大200万円を給付。その他にも様々な給付制度を用意し、融資枠の拡大や金利補助を行うなど、いつになく中身が手厚い。
しかし、これだけで景気悪化を決定的に防げるとは思えない。すでにアメリカやユーロ圏では年率換算でGDPが40%前後も悪化。日本でも4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比7.8%減、年率換算で27.8%減と戦後最大の落ち込みとなってしまった。
一方、緊急事態宣言下の日本では、企業活動に限らず様々な分野でテレワークが普及した。これまで一部企業でのみ採用されてきたこのやり方が、半ば強制的に多くの企業や学校などで実施されたのだ。
これが多くの企業やそこで働くビジネスマンに、思わぬ意識の変化をもたらした。
「社員がオフィスにいなくても仕事は進む」ということはすなわち、「オフィスの面積は今より狭くても支障がない」ということにつながる。そうであれば、会社はオフィスを縮小することで賃料や社員の移動経費などのコストをカットできる。社員は毎日満員電車で通勤する必要がなくなる。まさにウインウインの関係だ。