8月6日の日経新聞電子版で「国内コロナ患者死亡率、欧米の3分の1 初の大規模解析」という記事がありました。この記事を読み、日本は諸外国に比べて安全じゃないかなどと思わないで頂きたい。新型コロナに関する統計で、日本と諸外国の数字を比較することはできないのです。
まず、日本のPCR検査実施数は諸外国に比べて極端に少ない。日本では7月のPCR検査は31万4000件しかされていない。これに対し、全米では1か月1000万件以上の検査をしているとされます。ドイツでは1か月に400万件の検査ができる体制がある。いかに日本の検査数が少ないかわかると思います。
死者数にしてもPCR検査の少ない日本では、PCR検査を受けられずにコロナで亡くなりコロナでの死者とカウントされていない人も多いはずです。ポルトガルではPCR検査を受けていなくとも新型コロナとおぼしき呼吸器疾患で亡くなった方は新型コロナによる死亡としています。統計は国によって基準が違うので同じように比較することはできません。
だから日本は欧米に比べて安全だと思わないでください。日本で欧米並みのPCR検査を実施すれば現在の数倍の感染者数になるでしょう。コロナを甘く見てはいけません。これは国民の健康と生命を取るか、オリンピックを取るかの選択です。
開催の可否は都・組織委員会、IOCの協議で決まる。関係者の方々は都知事のように“五輪開催可否はIOCの決めることだ”と責任回避をせず、現状をよく分析して国民の健康と生命を守る選択をされるよう願っています。