国際情報

【アメリカ発】マスク規制をむやみに強化すべきではない

バイデン-ハリスのコンビはどこでもマスク姿(AFP=時事)

 アメリカでは、相変わらず「マスク論争」が盛んだ。トランプ支持者は「不要論」を唱え、反トランプ陣営は「義務化せよ」と叫ぶ。これが大統領選挙の代理戦争のように扱われるのは好ましいことではないが、日本でも「マスク警察」が問題になっているように、極端な論には弊害も多い。ブロガー、作家、編集者などマルチに活躍するWilliam Sullivan氏は、これ以上の規制に反対論を唱える。

 * * *
 ジョー・バイデン氏は最近、「すべてのアメリカ人は、少なくともあと3か月は外出する時にマスクをするべきだ。どの知事もマスク着用を義務づけるべきだ」と言って、マスク・ヒステリーを最大限に引き上げようとした。しかし、多くの地域で、いまそのような規制強化をすべき理由はない。むしろ、マスクの義務化は撤回すべきだ。

 マスクの有効性について少しでも疑問を呈すると、マスク信者たちから「咳やくしゃみで飛ぶ飛沫がマスクで抑えられることは間違いない」と反論される。それは事実かもしれないが、マスクを正しく使用することは簡単ではないし、皆ができていることではない。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、マスクを安全かつ効果的に使用するためには、必ず手を洗ってから装着すること(そんな人をほとんど見たことがない)、マスク表面に触れたり首にかけたりしないこと(そういう人はよく見る)、マスクは「使用のたびに洗う」ことが必要だ。

 現実は理論通りにいかないことが多い。ロックダウンやマスクを推奨する人たちは最近、ハワイの事例に頭を悩ませている。この絶海の孤島群で構成される州では、早くから観光業を閉鎖し、ロックダウンとマスク規制を導入した。にもかかわらず、ハワイの感染率は全米でもトップクラスであり、マスクが義務化されていない州で感染率がもっと低いところはたくさんあるのである。

 もう少し太平洋を西に行ってみると、フィリピンは厳しいマスク規制をしていることで知られるが、患者数も死亡者数も急増している。一方、北欧スウェーデンではマスク規制はほとんど存在しないが、患者数は減少し続けており、日々の死亡者数はゼロに近づいた。マスクの有効性を強調する人たちは、感染拡大している場所では規制を破ってマスクをしていない人や、食事をする時にマスクを外すことによって感染が起きているのだと主張することも多いが、それではスウェーデンが終息に向かっている説明はできない。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン