国内

「メンタル死亡保険」アンダーコロナを乗り切る生き方の工夫

マスク姿で銀座を歩く人々(時事通信フォト)

 どことなく息苦しさを覚えるのはマスクのせいだけではないはずだ。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。

 * * *
 SNSの世界、特に最近のツイッター界は何かとギスギスしていて、すぐに荒れる。ついこないだも、「#Amazonプライム解約運動」というハッシュタグがトレンドワード入りし、罵倒合戦のような状態になっていた。すでに騒動の経緯を整理した記事などが出ているので、詳細は省くが、どういった騒ぎになっていたかざっとさらっておこう。

 要は、国際政治学者の三浦瑠麗氏が、「Amazonプライムビデオ」のCMに出演していて、それが思想的に偏った人物を起用するなんてとんでもないことだとされ、プライムビデオを契約している人は今こそ解約しよう、という「運動」が8月17日から起きたのである。

 三浦氏は、過去に、北朝鮮のテロリストが日本の大都市に潜入している可能性があるとか、戦争を起こさないためにはお年寄りや女性も含めた徴兵制を導入すべきだとかといった発言や自論を展開している。そうしたことから彼女を「危険なウヨク」と見なしていた人々が、彼女を使ったアマゾンに対して不買運動のようなことをいきなり始めたわけだ。そのうちの多くが三浦氏に罵倒の言葉を投げつけながら……。

 それに対して、この「運動」を批判する側の声も一気に大きくなった。アマゾンプライムをやめた、という人々の中には、三浦氏云々と関係なく「いい機会だから不要な定額制サービスを整理してみた」といった断捨離派もけっこう混じっていたように見えたのだけれど、「運動」批判派たちは、これを「サヨクの蛮行」と全面否定。そして、左翼やリベラルが、どれほどヒステリックな連中であるかなど、これまた思いつく限りの罵詈雑言を浴びせかけていた。

 私としては、ハッシュタグを使った負の感情の連鎖を促すような「運動」のやり方はいかがなものかと思うと同時に、上記のような対立図式でまたぞろギスギスしていくことは本当に不毛だ、という感想だ。

「運動」の「成果」かどうかは不明だが、問題のCM動画は19日までにYouTubeで閲覧できなくなってしまった。単に、契約期間が終了したからかもしれないが、もし騒動のせいでAmazonが手を引いたのなら、言論の自由を集団によるクレームが抑圧する悪しき前例がひとつ増えたといえよう。

 今回はたまたま「サヨク」の側が起こしたクレームの「運動」だったが、こんどは「ウヨク」側が同じような動きを見せる可能性だって大いにある。たとえば、有名人のリベラルな政治的発言を「売国奴め!」と問題視し、ハッシュタグを使ってその有名人が出ているテレビ番組のスポンサーを攻撃するなどといったことは、すでに以前、嫌韓運動で似たような騒ぎになったような……。

 軽く時事ネタに触れるところから書いてみるつもりが長くなってしまったが、なんにせよ、こういう不毛でギスギスとした争いごとを目にすると、こっちの精神状態も悪化する。ああ、またいかれたノイジーマイノリティたちが騒いでいるね、と軽く受け流すつもりでも、いつしかメンタル的にマイナスなものが蓄積してしまう。

 それでなくても、アンダーコロナで鬱々となりがちな日々なのだ。人とリアルで会うことが激減し、そのぶんネット端末に向かう時間が増え、そのネット社会の中で要らぬ負の感情を見せつけられる。ならば、ご機嫌な動画鑑賞などで溜まっているものを晴らそうとすれば、こんどは没入しすぎて、昼夜逆転。生活リズムを崩し、余計に不健康なことになってしまう。そこまでダメダメなのは私の自業自得だが、巷では「コロナうつ」になっている人も増えていると聞く。

 そう、今回のコラムでは、アンダーコロナ世界におけるメンタルヘルス問題について書きたいのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン