感染者がこれだけ増えてくると、自分の振る舞いが試される局面が突然訪れることも想定しておくべきだろう。大人力について研究を重ねるコラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。
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全国の新型コロナウイルスの国内感染者数は、8月20日現在で6万人を超えました。5万人を超えたのは、たった9日前の11日です(NHK調べ)。もはや誰にとっても、「いつ自分がコロナに感染しても不思議ではない状況」と言えるでしょう。
もちろん十分な感染対策は欠かせませんが、かくなる上は「自分もいつか感染する」という前提で心の準備をしておきたいところ。無闇な特別視や恐怖心は、感染者に対する理不尽な攻撃や差別につながりかねません。「人ごとではない」という認識を持つことは、不運にも感染した人にあたたかいいたわりの目を向ける必須条件です。
もし感染した場合、療養や治療に関しては専門家に頼るしかありません。今のところ60代以下で持病がとくにない場合、無症状だったり軽症で済んだりする可能性が高いようです。あらかじめ心の準備をしておきたいのは、幸い回復してまた仕事に復帰するタイミングで「周囲に向けてどんな挨拶をすればいいか」ということ。
さんざん言われていますが「怖いのはウイルスよりも人」です。残念ながら、誰がどんな偏見や悪意を持っているかわかりません。「感染者=迷惑をかけた悪者」という前提で、非難や批判をぶつけてやろうと手ぐすね引いている人もいるでしょう。
復帰の場面での挨拶のお手本にしたいのは、コロナから回復した芸能人のコメント。たとえば7月中旬に感染を発表したお笑いタレントで歌手のはなわは、同31日に自らのブログに「ご報告。」というタイトルの一文を掲載しました。
〈この度は私の新型コロナウイルス感染により、関係者の皆様、応援してくださっている皆様に大変なご迷惑とご心配をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
私自身、コロナウイルス感染確認後、保健所の指導のもと、都内病院に入院し治療を続けてきました。
そして、厚生労働省による退院基準でもあるPCR検査の二回陰性が確認された為、退院という運びとなりました。
今回お世話になりました病院の関係者の皆様には心よりお礼を申し上げます。
今後はより一層の感染防止を徹底し、今まで以上に仕事と真摯に向き合い頑張っていきたいと思います。
はなわ〉
(「はなわオフィシャルブログby Ameba」2020年7月31日のエントリーより)
シンプルな文面ですが、コロナから復帰したほかの芸能人のメッセージも見比べてみると、これが「復帰の挨拶」のベースと言ってよさそうです。さすがベースといえばはなわ。それはさておき、どうやら「押さえるべきポイント」は、次の5つです。
●関係者に迷惑と心配をかけたことを謝罪する
●感染がわかってからどう過ごしていたかを伝える
●厚労省の基準に基づいて退院できたことを伝える
●医療従事者やお世話になった人への感謝を述べる
●今まで以上に仕事を頑張るという決意を述べる
ただ、迷惑と心配をかけたことに対する謝罪はいいとして、普通に感染予防に気を付けていた場合、感染したこと自体を神妙に謝罪し過ぎると、聞く側を勘違いさせてしまいかねません。「十分に気を付けていたのに感染した悔しさ」を吐露することで、聞く側に「運が悪かったんだよな。気の毒に」という気持ちを抱いてもらえそうです。