23区なのに交通網が不便な足立区だが、近年、区西部を中心に急速に宅地化が進んでいる。なぜ……という人もいるかもしれないが、2008年に開業した日暮里・舎人ライナーが状況を変え、この人口減少時代に通勤時だけ混雑する路線を誕生させた。新型コロナウイルスによる在宅ワークが広く呼びかけられた時期にはさすがに少しはおさまっていたが、ピーク時の混雑率190%が戻りつつある。日暮里・舎人ライナーで取り組まれている混雑緩和策について、フリーランスライターの小川裕夫氏がリポートする。
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鉄道の乗換検索ができるアプリ「NAVITIME for Slack」が、8月19日に新たに「列車混雑予測」を表示する機能を追加すると発表した。すでにNAVITIMEは、列車の混雑を予測する機能を備えたアプリをリリースしている。また、他社からも同様の機能を備えたアプリがリリースされている。
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から各社がテレワークを導入。それに伴い、通勤時間帯のラッシュは緩和傾向にある。それでも、こうした混雑を予測するアプリがリリースされるのは、混雑を回避したいという利用者の願望が大きいからだろう。いまや混雑対策は喫緊に解決しなければならない問題であり、それは鉄道会社だけが取り組む話ではない。混雑緩和は、行政課題にもなっている。
今年1月から2月にかけて、東京都足立区が「日暮里・舎人ライナー 混雑に関する実態調査アンケート」を実施。その結果が、5月11日に公表されている。
東京都足立区の西部は、23区最後の鉄道空白地帯といわれていた。その空白を埋めるべく、2008年に日暮里・舎人ライナーが開業。同線は、荒川区の日暮里駅と足立区の見沼代親水公園駅とを約9.7キロメートルで結んでいる。
もともと同区間には、地下鉄を建設する計画があった。しかし、採算面・需要が疑問視されたために白紙に戻された。その後、東京都が新交通システムの計画を策定した。計画が策定された後も紆余曲折あり、ようやく着工に漕ぎ着ける。さらに着工から開業までにも一悶着あり、9年の歳月を要した。
計画決定から起算しても、実現までに30年以上もの歳月を要した。日暮里・舎人ライナーは、難産という言葉通りの鉄道だった。そして、30年以上も待たされた足立区にとって、日暮里・舎人ライナーは待ちに待った鉄道でもある。