ゲームのプレイ画面を視聴者に見せながら実況する、いわゆる“ゲーム実況動画”を配信するお笑い芸人が相次いでいる。お笑いの世界で培ったスキルは、ゲーム実況においてどのように活かされているのだろうか。
ゲーム実況で今もっとも注目を集めている人物のひとりに、お笑い芸人の狩野英孝がいる。2月に自身の公式YouTubeチャンネル「EIKO!GO!!」で初のゲーム実況に挑戦。スリリングなホラーゲームをプレイする様子は好評を博し、そのリアクションについて「笑いが止まらない」「キャラが変わって面白い」とコメントするファンが相次いだ。
2011年に結成したお笑いコンビ・すゑひろがりずは、社会現象と化した話題のゲーム『あつまれ どうぶつの森』のプレイ動画で人気に火がついた。狂言風のユニークな実況にも注目が集まり、「めちゃ楽しんでてかわいい」「癒される」と支持する女性のファン層が一気に増えたという。
また6月にはライブ配信プラットフォーム「Mildom(ミルダム)」で、吉本興業が「吉本自宅ゲーム部」と題したバラエティ番組の配信をスタート。板倉俊之(インパルス)や品川祐(品川庄司)、ゆいP(おかずクラブ)、吉村崇(平成ノブシコブシ)、さらにケンドーコバヤシや東野幸治など人気のお笑い芸人がゲーム実況を披露し、やはり「これはハマる」「ゲームやりたくなってきた」と大きな反響を呼んでいる。
もともとゲーム好きが高じて実況を始めた芸人もいれば、ゲームに関してはまったくの初心者だったという芸人もいる。だが、いずれにしても視聴者の反応は概ね好評だ。なぜ、お笑い芸人によるゲーム実況動画が人気を集めているのだろうか。お笑い評論家のラリー遠田氏は、ゲーム実況では芸人ならではのスキルが強みになっていると指摘する。
「ゲーム実況はリアクション芸に似ています。ゲーム内で起こる出来事に対してどういうふうに反応するのか、というところにその人の個性が出ます。狩野英孝さんは天性のリアクション芸人なので、リアクションが派手で面白いし、やることや言うことにウソがない。誰よりもゲーム実況に向いている芸人だと思います」