中国内陸部江西省の山村で27年前に起きた殺人事件で逮捕され、裁判で死刑判決を受けた死刑囚がこれまで「冤罪だ」と無罪を主張し続けてきた。上告の結果、江西省高等法院(高等裁判所に相当)は8月初旬、死刑囚は警察の拷問によって自白を強要されていたとして、無罪の判決を下していたことが分かった。
死刑囚は9778日間(約27年間)にわたって自由を奪われていたことになり、無実の罪で収監された期間としては、中国では最長記録となった。弁護士はその代償として、賠償金としては最も高額な約700万元(約1億1000万円)を国に請求するという。中国紙『新京報』が報じた。
この死刑囚は53歳の張玉杯氏。1993年10月、故郷の江西省南昌市進賢県張家村の貯水池で、同じ村に住む2人の少年の水死体が発見され、少年の体には数カ所の打撲の跡が見つかったことから、警察は殺人と断定。村民全員を聴取した結果、警察は数日後、少年の自宅の隣の家に住む張氏を被疑者として逮捕した。
張氏は1995年の南昌市中級法院(地方裁判所に相当)の第1審判決で有罪となり控訴。2001年の同法院の第2審判決でも有罪は覆らなかったため、張氏は江西省高等法院に上告、同法院は2018年に再審の判断を示し、今年8月初旬の裁判で無罪判決が下った。
張氏は裁判で、警察の取り調べに「犯行当日、現場の貯水池には行っていない」「当日、2人の少年とは会っていない」などと供述し、無罪を主張した。だが、警察は「白状しなければ、お前の両親や家族が村で暮らしていけなくするぞ」などと脅迫され、警察から拷問も受けていたと述べた。