子供の受験や結婚、夫の仕事相手との食事など、“きちんとしたいとき”にまず知るべきなのは、テーブルマナーやしきたりではない。“育ちのいい人”は、もっと大切なことを知っているという――。
“育ちのよさ”と言われると、生まれ持ったものであるかのように思えるが、決してそうではない。『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)の著者で、皇室やVIPなど、本物の“良家”の人々のアテンダントを務めてきた、マナースクール「ライビウム」代表の諏内えみさんが言う。
「“育ちのよさ”は、生まれ育った家の裕福さや受けてきた教育とは関係ありません。”育ち”とは、そのかたのちょっとした身のこなしや言葉遣いに表れる、印象やたたずまいのこと。今日までの生き方が表れます。過去の積み重ねよりも、これからの日々の過ごし方で、何才からでも身につけられるのです」(諏内さん・以下同)
そして、言葉は“育ちを映し出す鏡”だという。普段から、どんな言葉遣いをしているかによって、かなり印象は異なってくる。たとえば、“うそでしょ!?”“違うのよ!”など、無意識に否定言葉を連発していないだろうか。否定言葉を繰り返すのは、その気はなくても、相手自身を否定することになる。
「普段使っている言葉は、大事な場面でもつい出てしまうものです。“マジ!?“ヤバい!”“ウケる!”などの若者言葉や流行語、略語は、大人の女性が使うにはふさわしくないでしょう。品がないだけでなく、若作りな印象にもなります」
では、どんな言葉遣いが品よく見えるのだろうか。誰でもすぐにできるのは、語頭に“お”をつけること。諏内さんによれば、特に「料理」「化粧」「箸」「風呂」の4つのワードは、“お”をつけるだけで耳あたりが格段によくなり、“育ちのいい人”らしさが上がるという。
「会話のなかで気をつけるべきなのは、“クッション言葉”を上手に使うこと。人に話しかけるときに、“この書類のことなんですけど”といきなり本題に入るのではなく、“お忙しいところ恐れ入りますが”“差し支えなければ”などと、相手を気遣った“言葉のワンクッション”を入れられるのが理想です」
とはいえ、急いでいるときや疲れているときなどは、誰しも余裕がなくなるもの。しかし諏内さんは、「余裕のないときこそ“育ち”が出る」と言う。
相手を気遣えるだけの余裕がなくとも、大人の女性たるもの、せめて「粗野な振る舞い」は避けるべきだ。