「あなたも147日間休まず働いてみたことありますか? ないだろうね。140日働いたこともない人が、働いた人のこと言ったってわかんないわけですよ」
体調不良で日帰り検査した安倍首相をかばったつもりかもしれないが、国民の命を預かる総理大臣にはまず自らの体調を維持する責任があり、不休で働くことは、誉められることでも自慢できることでもない。
総理経験者にもかかわらず、「総理だからこそ休まなければならない」という基本がわからない人物にとうてい政権は任せられない。ところが、である。麻生氏の野心は「首相臨時代理」にとどまらないらしい。政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「麻生副総理が首相臨時代理として総理執務を代行しても、安倍首相が退陣となれば、自民党ルールでは総裁選を実施し、後任の総理・総裁を決めることになる。首相臨時代理の役割はそこまでで終わる。しかし、麻生さんは、首相臨時代理になった後、そのまま安倍さんから政権禅譲を受けて残り任期の1年、自ら総理を務めるつもりでしょう」
麻生側近議員も、「麻生さんの悲願は1日でもいいから総理に再登板し、前回の総理時代に自民党が選挙に大敗して政権を失った汚名を返上することです」と見ている。
この9月に80歳の誕生日を迎える麻生氏にとっては、安倍首相からの政権禅譲が再登板の「最後のチャンス」に見えているのかもしれないが、首相臨時代理どころか、これから1年間の麻生再登板など国民にはたまったものではない。
※週刊ポスト2020年9月4日号