派手を好まず、実直で温厚、そして義理堅い。「男の憧れ」としての生き様を貫いた渡哲也さん(享年78)は、生前、石原軍団を始めとする「男たちとの交友」ばかりがクローズアップされ、女性遍歴がほとんど報じられない希有な俳優だった。
だが、その実、多くの女優に愛された人生を送っていた。若かりし日の知られざる有名女優との交歓は、数十年の時を経て続いていた──。
渡を心から慕った大女優が、大原麗子さん(享年62)だ。2017年に他界した渡の実弟・渡瀬恒彦さん(享年72)の元妻である。生前、大原さんのマネージャーを40年にわたって務めた佐藤嘉余子氏が語る。
「麗子さんは1973年に渡瀬さんと結婚しましたが、1975年には神経疾患であるギラン・バレー症候群を発症してしまった。夫の渡瀬さんが献身的に支えてくださいましたが、同じくらい親身になってくださったのが、渡さんでした。
渡さんはご自身が病気がちでしたし、石原裕次郎さんの闘病を支えてきた経験から、病院に詳しかった。そのツテで麗子さんは東大病院に入院することができたんです。麗子さんは渡さんのことを『おにいさま』と呼んでいて、『おにいさまのおかげで私は救われました』と深く感謝していました」
当時、大原さんは押しも押されもせぬ人気女優。一方、渡瀬さんも数多くの映画に出演していたものの、「裕次郎2世」と呼ばれスターになっていた渡さんに比べれば目立たない存在だった。
そのため、結婚後も一部のメディアの注目は渡さんと大原さんに集まり、2人の間柄が邪推されることもあったという。