美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズ。今回2人が訪れたのは、明治神宮ミュージアムだ。
壇蜜:こうして眺めると明治神宮は本当に緑豊かですね。目の前に広がる青々とした木立に心癒やされ、美術館にいながら杜を散策している気分にもなります。
山下:それこそが明治神宮ミュージアムを建築した隈研吾さんの想いです。大きく切り取られた開口や木の柱が杜の緑と調和し、参道から美術館を眺めても日本伝統の入母屋造りが自然と杜に溶け込んでいます。
壇蜜:1階には明治神宮の歴史や行事を《百年、一年、一日、一刻》の4つの時間軸で伝える常設展「杜の展示室」がありますが、『植樹風景模型』を見ると原生林に感じられるこの都会のオアシスが、実は荒野から生み出されていたことに驚かされます。大正9年の創建から100年でよくぞここまで繁茂しましたね。
山下:自然の力だけで杜が育っていけるようにと設計された、100年先を見据えた素晴らしいプロジェクトであったことが模型を通してわかります。杜づくりのために日本全国から10万本の樹木が奉納され、のべ11万人の若者たちが神宮の造営に携わりました。
壇蜜:館内にはぬくもりある木のベンチもあります。