独立派の具体的な主張としては、独立してイギリスの核を撤去すれば、そのための資金を教育や医療、住宅に回せるという考えがある。また、以前ほど盛んではないが、油田をはじめとする北海資源をスコットランドが独占できるという意見も根強い。
ただし、財政については甘い見通しばかりではない。北海の石油とガスは産出量も価格も下がっているし、独自にコロナ対策ができるのか、公共サービスは維持できるのか、そのためには増税が必要ではないのか、といった課題がある。コロナ問題でスコットランドのGDPは大きく落ち込んでいる。イギリスがNATO(北大西洋条約機構)やG8メンバーであること、国連の安全保障理事会常任理事国であることで受けてきた恩恵も失う。独立すれば、イギリス全体よりも成長率は低くなる可能性が高いのが現実だ。すでに域内の6万5000の企業が公的資金を借り入れて延命しており、独立国になった場合に多額の国家債務を担えるかは大いに疑問である。
しかし、スコットランド議会は独立についての2回目の住民投票を目指している。重要なのは、これがスコットランドの伝統と創造的卓越性を維持し、ヨーロッパとその他の世界でより大きな役割を果たすための最善の方法なのか、それともスコットランド自体の分裂を招くのかだ。歴史的関係は、そう簡単に捨て去ることができるものではない。
(この記事は「American Thinker」の許諾のもと同サイトの記事を翻訳・要約したものです)
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