各地自体によって、対策が異なる新型コロナウイルス。当然、その対策の内容によって、結果も変わってくる。
愛知県、福岡県、沖縄県など地方都市を中心に重症者が増加傾向にある。政府の分科会も「注意が必要」と呼びかけた。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。
「地域の拠点となる都市や観光地は、人が多く集まって3密になりやすい。また以前から『感染経路不明者』が多かったエリアほど新規感染者が増加して、重症者が増える傾向があります」
一方、100万人都市である仙台を抱えながら、感染を抑えているのは宮城である。これまでの県内感染者数は192人で死亡者は2人にとどまっている(8月25日時点)。
「仙台市は2009年に世界的に蔓延した『新型インフルエンザ』の対策として、感染者が早期に治療ができるように地元医師会と協力して独自に医療提供体制を整えてきました。それは『仙台方式』と呼ばれ、新型コロナでもそのネットワークを7月から応用しています。かかりつけ医がいない発熱患者の相談窓口を設置し症状を聞き取り、コロナの疑いが低い場合は165か所ある中から最寄りの医療機関を複数案内し、疑いがある場合は『帰国者・接触者相談センター』につなぐ紹介システムです」(一石さん)
和歌山も独自の対策で感染拡大を防いだ。
和歌山では、2月に国内初の院内感染が済生会有田病院で発生した。その際、仁坂吉伸知事は病院の出入り業者を含め、症状の有無にかかわらず病院関係者474人のPCR検査を10日間で断行。ほかにも病院周辺にウイルスを持ち込んだと思われる中国人旅行者がいなかったかなどの聞き込みを徹底した。陽性者を早期に隔離することで、約3週間で感染の広がりを断ち切ったのだ。
その迅速な対策は米ワシントン・ポスト紙から「和歌山モデル」と絶賛された。和歌山が国の指導の先を行く対策はほかにもある。血液内科医の中村幸嗣さんが説明する。
「国はICUでの治療や、人工呼吸器、ECMO(人工肺装置)を利用した段階で重症者とします。しかし和歌山はその前の酸素マスクをつけた段階で重症者とみなし、患者に手厚い医療を提供してきました。第一波の経験が生かされ、8月24日現在の死者はわずか4人と重症化を防いでいます」(中村さん)