この時期の3歳未勝利戦は、文字通り生き残りを賭けた戦い。華やかなGIレースとはまた違った“熱さ”がある。競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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夏競馬も残り2週、東西メーンには早々と勝ち名乗りを挙げた2歳エリートによる重賞が組まれている。
一方、午前中や午後の新馬戦後には3歳未勝利戦が各日3~4レース、ひっそりと行なわれる。ここで勝てなければ、今後は格上馬相手に不利な戦いを挑むか、引退するか、あるいは中央競馬の舞台から去るしかない。2歳戦が始まってからのわずか15か月の間で、とにかく1回は1着にならないと「走らない馬」という烙印を押されてしまう厳しい世界だ。
いわゆる“スーパー未勝利戦”が昨年からなくなり、実力差がはっきりしてきたとはいえるが、それでも多頭数必至、やっと競馬を覚えてきた馬や試行錯誤を繰り返して適性が明らかになってきた馬、デビューが遅れた素質馬などもいて力関係の把握が困難。昨年小倉最後の未勝利戦は単勝213倍の17番人気馬が勝ち、馬単は史上3位の102万円もついた。
そんなことで、もしかしたら美味しいかもしれないサバイバル3歳未勝利戦について検討してみる。
昨年ラスト2週の未勝利戦を見てみると、37レース中15勝と1番人気馬は強い。ところが、2番人気は3勝、3番人気は2勝、4番人気3勝、5番人気2勝、6番人気3勝、7、8、9番人気が各2勝と、2番人気から9番人気まではほぼ平均して勝っている(10番人気以下が3勝)。
つまり「2着ではダメ」ということなのだ。各陣営が勝つことだけを考えている。もはや「前走より前進を」とか「なんとか次走の優先出走権を」などと言っている場合ではない。実績や能力値が高い馬がいる場合は、いつもと違う戦い方をすることもある。なお2着馬は半数以上が3番人気馬以内、3着馬は22レースが5番人気以内と極めて順当だが、2着も10着も負けは負けなのだ。
しかし「2着ではダメ」なのは当該馬の関係者だけ。一般の馬券ファンは、単勝を買って応援すればいいというわけではなく、陣営の思惑を読み取って勝負すればいい。
1番人気が勝てないレースでは、2番人気以下どれが勝ってもおかしくない。けれど、2着、3着は上位人気馬が順当となれば、買うべき馬券はおのずと決まってくる。馬連やワイドではなく、いまや6%台のシェアしかない馬単である。馬単は信頼できる1番人気馬を1着に固定して「少し」高い払戻にありつくためのものではなく、これはと思った軸馬を頭にして「かなり」高い払戻をゲットするものと考えたい。レースを見るときも力が入る。
また1番人気なのだから3着以内には来るだろうという思考で買う3連複では、よほどのことがない限り高額配当が望めない。ならば上記同様、軸馬を1着にすえた3連単。1着固定で相手4頭なら12点、フォーメーションで軸馬1着固定、2、3着付け2頭、3着付け4頭で計10点というのはどうだろう。1点100円で十分。ローリスクでハイリターンを狙うこの時期の3歳未勝利限定作戦だ。