誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、競馬新聞の予想にある本命「◎」はどれだけ勝つのかを考察したことについてお届けする。
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慣れは恐ろしい。ある土曜日の札幌2R、人気薄のワイドが的中した。だが「購入限度額」が増えない。投票履歴を見れば、的中を示す黄色い☆がない。買ったのは新潟2Rだった! ネット投票を始めた当初は慎重にキーを押していた。ガチっと気持ちを締めなきゃと猛省したのだった。
さて、◎である。本命だ。地図記号では市役所。役所なみのカタイ馬券ってわけでもあるまいが、妙な一致が面白い。ちなみに○は町役場だ。
欧米人は重要なポイントにマルではなく×を付けるという。われわれが馬番にバッテンをつけたら「切り」。日本人はマル好きのペケ嫌いだ。ちなみに海外の予想紙には印がないらしい。
ある日の2歳未勝利戦。◎の連なりに瞠目した。ある専門誌では14人中12人が◎。2人が○。単勝オッズ1.4倍。ここまで◎が揃うと、このオッズでも高めに見えてくる。
それでも不思議と全員一致にはならない。上記の2人が◎を打ったら全社的に◎だ。もし敗れたら責任問題になる(のかな)。そんな疑問を専門誌の知人にぶつけたらハナで笑われた。
「トラックマンは唯我独尊のメンタルも濃く、強い馬だと逆転の目を探したくなる」。
ちなみに彼らはデスク(紙面責任者)に「◎はこの馬でいく」などの事前報告はしない。