警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、巷の“自粛警察”に対して、本家の警察官や暴力団関係者などが一言物申す。
* * *
「警察=正義のように勘違いしているから、“自粛警察”などというんだろう。それに“マスク警察”とも呼ばれているが、怒る側も人を見てやっている感はある」
そう話す元組長の口元にマスクはない。蒸し暑いから、話しにくいから外したわけではない。初めからしていないのだ。
「いくら予防したってかかる時はかかる」と、緊急事態宣言が解除されて以降、手洗いや消毒はしてもマスクは一切やめたという。
「口を開かなければ問題ない。しゃべらなければ大丈夫。誰に迷惑をかけることもない」
それでも、最初のうちは人目が気になったという。
「通りすがりに白い目で見るヤツは多いが、避けていく」
ソーシャルディスタンスが取れていても、マスクをしていなければ冷ややかな視線が向けられる。だが、元組長の前に“マスク警察”はまだ現れていない。シンプルなTシャツにデニムのパンツ、高そうな指輪はしているが、その格好は決して派手ではない。しかし醸しだす雰囲気が、やっぱり堅気の人のそれとはどこか違う。
「マスクしないでエレベーターに乗っていると、黙ってみんな降りる。まぁ、注意しにくいんだろうがね(笑い)」
県外ナンバーや帰省者を見つけると貼り紙やSNSで誹謗中傷を行う“自粛警察”と違い、その場注意が基本の“マスク警察”は、強そう、怖そう、ヤバそうな相手には直接、物をいわないらしい。
「正義をかさに着たヤツが弱い者に物言いをする。人に迷惑をかけないようにから、自分のルールを守らない他人を適視し我が身に何かあったら…に変わってきている。その程度の正義だな」
一方、本家の警視庁元刑事もこう語る。
「“自粛警察”とか“マスク警察”といった表現は、あら探し、密告者、SNSで無責任に誹謗中傷するやからと同じで、正義感を正当化する手段」
“○○警察”などのネーミングは警察にとって迷惑な話でしかない。だがそのネーミング以上に、“自粛警察”は大きな組織的問題に絡んでいた。緊急事態宣言中、現役警察官やOBたちがこぞって嘆いていたのだ。
「現在、自宅待機中。これが本当の自粛警察!」
当時、電話で話した現役警察官は自嘲気味にそう語っていた。全国の警察自体がまさに“自粛警察”だったのだ。
「○○署に行ってきましたが自粛で、警察官はほとんど署にはいません。自宅待機でした」