高校生二冠・藤井聡太王位・棋聖の大活躍で盛り上がる将棋界。気の早い向きは「年度内三冠達成」「全冠制覇はいつか」と囃し立てているが、「藤井時代到来」に待ったをかけようとしているのが、40代以降のベテラン強豪棋士たちだ。そんな将棋界を取り巻く状況をジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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まずは現在の将棋界の勢力図をおさらいしよう。タイトル保持者は10代から30代の4人だ。
・渡辺明 三冠(36)/名人・棋王・王将
・永瀬拓矢二冠(27)/叡王・王座
・藤井聡太二冠(18)/王位・棋聖
・豊島将之竜王(30)/竜王
今後のスケジュールで、注目されているのが、藤井二冠が登場する第70期王将戦の挑戦者決定リーグ戦だ。
9月から始まるリーグ戦の出場者は7人。シードの4人=前期挑戦者の広瀬章人八段(33)、同2位の豊島竜王、同3位の羽生善治九段(49)、同3位の藤井二冠。そして予選トーナメントを勝ち上がった永瀬二冠、木村一基九段(47)、佐藤天彦九段(32)。10代、20代は藤井、永瀬両二冠のみである。そして40代のベテラン2人が名を連ねている。すべてが現タイトル保持者、タイトル経験者で占められている超豪華な顔ぶれである。
将棋界で最も過酷な「死のリーグ」とも言われる、この7人総当たりのリーグ(全21局)を制した棋士が、来年1月から王将の渡辺三冠に挑むことになる。その開幕局(9月22日)は、いきなり藤井二冠vs羽生九段のドリーム対局となった。これは見逃せない。
7人による激闘を制して藤井二冠が挑戦者になれるかどうか、三冠に手が届くかどうかに関心が集まっている。