1966年開始の『笑点』(日本テレビ系)は、今年で55年目に突入した。現在も続く番組の中では『NHKのど自慢』(NHK)、『題名のない音楽会』(テレビ朝日系、途中8ヶ月間休止あり)、『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)に次いで4位の長寿番組になる。主な理由として、「時間帯の変更なし」「家族3世代で視聴可能」「メンバーの明確なキャラクター付け」などが挙げられている。
一方で、マンネリとも批判される番組はどうして人気を保てているのか。笑点研究家で、ライターの岡野誠氏が『三遊亭小遊三の下ネタ』を詳細に分析しながら、“目に見えない変化”を考察する。
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一時よりも、三遊亭小遊三の下ネタが増加し、存在感も強くなっているのではないか──。今年の『笑点』を見ていて、こんな考えが頭に浮かんだ。
『笑点』メンバーで、司会者に1番近い位置に陣取る小遊三には、主に『下ネタ』『イケメン・キザ』『泥棒』という3つのキャラクターがある。毎週のように、これらの個性を押し出しているイメージがあるが、実際にはどのネタを最も答えているのだろうか。
今年1月5日から8月23日まで『笑点』の大喜利は26回放送され(※)、小遊三は128回答、1オンエア平均4.92(小数点3位以下を四捨五入)となっている。
【※8月23日『24時間テレビ』内の『チャリティー笑点』では通常の大喜利(座布団運びに佐々木希)、『24時間テレビ』パーソナリティー(V6井ノ原快彦、NEWS増田貴久、Kis-My-Ft2北山宏光、ジャニーズWEST重岡大毅、King&Prince岸優太)との対抗大喜利と2度あった】
『デジタル大辞泉』(小学館)によれば、下ネタは「性や排泄に関する話題」という意味で、“しも”は下半身の意だという。この定義を元に『下ネタ』に当てはまるかを総合的に判断しながら、3つの回答数を調べると、以下のようになった(※パーセンテージは小数点2位以下を四捨五入。以下同)。
【1位】下ネタ:51回(39.8%)
【2位】イケメン・キザ:13回(10.2%)
【3位】泥棒:11回(8.6%)
主要3つのキャラネタが58.6%に上り、実に下ネタは全体の約4割を占めた。今年、小遊三が下ネタを言わなかったのは4週だけ。最も多かった週は4回(1月12日、5月3日)、最も高い確率の週は75%(4回答中3つ。5月10日、7月26日)にも及ぶ。5月24日から6月7日にかけては、5連発したこともあった。