16才でデビューし、現在64才の郷ひろみ。あと2年で芸歴50年となってもなお、精力的な活動を続け、7月には105枚目のシングル『ウォンチュー!!!』をリリース。さらにエッセイ集『黄金の60代』(幻冬舎)も出版した。そんな郷にインタビューを行った。
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ここまで常に順風満帆のように見える郷だが、試練を乗り越えた経験も、もちろんあるという。
「33才の頃、詐欺事件に巻き込まれて数千万円を騙し取られたことがありました。もちろん騙されたくて騙されたわけではないんですが。そういう理不尽なことって生きていればいくらだってあるんですよね。誰かに足をすくわれることもあるだろうし、傷つけられることもある。でも、自分は被害者だと思うのは間違いで、何かしらの原因が自分にもあるはずなんです。
詐欺に遭ったぼくは脇が甘かったと思うし、人を見る目がなかったともいえます。そんな自分の欠点に気づくために試練はあるのかなと思うと、すべての経験が肥やしになる。そう考えることで、ぼくはつらかったことや悔しかったこと、悲しかったことも流してきました」(郷・以下同)
そして、「この世はポジティブに物事を捉えることができる人の勝ちなんですよ」と話は続く。
「嫌なことが起きてしまったとき、どんより気分からポジティブな思考に切り替えるためには『大難が小難で済んだ』と考えることです。ぼくが経験した詐欺事件にしても、『もしかしたら、もっと多くのお金を失っていたかもしれない』と想像すれば、『この程度でよかった』って感謝の気持ちすら湧いてくる。いつのときも現実はひとつしかなくて、起きてしまったことは変えられないけれど、心の立ち位置を変えることで救われるというのが持論です」