安倍晋三・首相が8月28日、記者会見を開き、辞意を表明した。持病の潰瘍性大腸炎の再発など健康上の問題がその理由だが、安倍首相の様子に大きな変化が現われたのは、緊急事態宣言が解除(5月25日)されてからだ。感染拡大中には9回もコロナ対策について記者会見を開いたのに、恒例となっている国会閉会後の会見(6月18日)を最後に、ほとんど国民に語りかけなくなったのだ。
慶応病院で1回目の検査を受けたのはこの頃(6月13日)である。元官邸スタッフが語る。
「総理の病気・潰瘍性大腸炎は悪化すると『やる気』を失う。医療チームの医師が一番心配していたのはそこでしたから、“とうとう来たか”と思った」
「総理の主治医」には、“執務に影響が出ないようにする”という使命がある。そこに影響が及んできたわけである。
ひとつの原因として考えられるのは、治療薬の副作用だ。おおたけ消化器内科クリニックの大竹真一郎院長が語る。
「診察していないのではっきりはわかりませんが、ステロイドの長期投与は行なわれているかもしれません。ステロイドは炎症を抑える力が強く、ひどい血便や下痢、腹痛といった症状を改善させるために投与しますが、副作用としては、うつ病や顔がむくんだり、丸くなる満月様顔貌などの症状が出る可能性がある」
医療チームが「やる気を失う」と心配していたのは薬を多用せざるを得ないほど症状が悪化していたからではないか。