ZOZO創業者の前澤友作氏が、ユナイテッドアローズとアダストリアという2大アパレル企業の大株主になったことが分かった。折しもコロナ禍でアパレル業界が総崩れする中、両社は前澤氏の出資を受け、この苦境から脱することができるのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
* * *
ZOZO創業者として知られる前澤友作氏が、8月7日までにユナイテッドアローズの株式7.97%を35億2864万円で、アダストリアの株式5.6%を39億7390万円でそれぞれ取得したことが発表されました。じつに総額約75億円を投資したことになります。
今回の株式大量取得の狙いは、〈純投資を基本とするが、発行者経営陣との間で友好的な関係が構築されることを前提として、必要に応じて企業価値向上のための助言または提案を経営陣に対して行う可能性もある〉と記されている通り、純投資が最大の目的ではないかと思います。
では、前澤氏はどうしてこの2社を選んだのか。面識のない私にその理由は分かりませんが、7月末から8月頭にかけては両社ともに株価が低迷していたので、お買い得だと考えたのかもしれません。
敢えて2社の共通点を挙げるとすれば、ユナイテッドアローズとアダストリアは両社ともに小売店出身で、アパレル業界においてネット通販が強いことが共通しています。株式投資をする場合、内情を知っている業界の方が成功しやすいですから、ネット通販モールZOZOの創業者としては当然の選択なのかもしれません。もっとも、ユナイテッドアローズもアダストリアもZOZOに出店しており、付き合いも長いので両社の内情については相当に詳しいと考えられます。