安倍政権はおよそ8年にわたる長期政権となり、突然の辞任の報で、喪失感を味わっているのは必ずしも安倍支持層だけではない。
“反安倍”の姿勢で知られるタレントで作家の室井佑月氏は、8月28日の文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」に出演し、「明日から何を心の支えにしようというか」と、率直に“安倍ロス”の心境を語っている。
昔から野球ファンの間では、もっとも巨人に執着しているのが実はアンチ巨人派だという意味で「アンチ巨人は巨人ファン」といわれてきた。「安倍辞めろ」と叫んできた反安倍の人々も、いわば安倍首相に依存してきたわけで、敵を失って喪失感を感じているようだ。
海外における反安倍派の一大勢力と言えば、やはり「韓国」である。
安倍首相の辞任が取り沙汰され始めた頃の8月23日、朝鮮日報のコラムで、イム・ミンヒョク論説委員は以下のように書いている。
〈文在寅(ムン・ジェイン)政権が今のように思う存分「竹やり歌(竹やりを持って日本軍に反乱を起こし玉砕した故事を歌う)」を歌い、「土着倭寇(国内の親日派)フレーム」を振り回せるのは、完全に安倍首相の「おかげ」だ。「敵対的共生」のこの上ないパートナーと言うべきか〉(8月23日付朝鮮日報日本語版コラム「安倍の墜落」。文末に注)
この記事によると、昨年、韓国で実施された外国指導者の好感度調査では、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長に対してさえ9%が「好感が持てる」と回答したが、安倍首相に対しては同3%だったという。韓国人の安倍嫌いが、文在寅政権の反日政策を支持してきたと言うこともできる。