美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズ。今回2人が訪れたのは、岡本太郎記念館だ。
山下:岡本太郎が42年間住まい、作品を生み続けた自宅兼アトリエを公開しているのが東京・南青山の岡本太郎記念館です。1階のサロンは打ち合わせや応接に使われたスペースで、モザイクタイルのテーブルや食器類などもすべて太郎がデザインしたものです。
壇蜜:“TAROワールド”爆発ですね。見上げれば飛行船、横を向けばご本人そっくりの人形と、賑やかな空間にわくわくします。
山下:マネキンは自身がシリコンに埋まって寸分違わず再現された等身大です。
壇蜜:どうりでリアルなわけですね。庭から後ろ姿を覗かせている黄金色の『若い太陽』も岡本太郎さんをイメージさせる作品です。
山下:自然のままのびのびと生い茂る芭蕉やシダ類の姿も太郎の美の表現。植物に溶け込み、庭にはまだまだ作品が隠れていますよ。
壇蜜:端々から太郎さんの精神や美意識が感じられます。『縄文人』の彫刻も強く訴えかけてくる作品です。
山下:縄文の造形美が“日本の美の原点である”と初めて言及したのが岡本太郎です。縄文には、並々ならぬ思い入れがありました。
壇蜜:教科書では縄目の文様が美しいと習いました。