6月から7月にかけて、新宿・歌舞伎町のホストクラブを中心に新型コロナウイルスのクラスターが多数発生し、いわゆる「夜の街」は槍玉に挙げられた。その後、家庭内感染に拡大した第2波は収束しつつあるが、今、夜の店で働くナイトワーカーたちはどのようにコロナ禍に向き合っているのか。高級クラブ、キャバクラ、ラウンジなど歓楽街で営業する店の現状を、ハシゴ取材でお伝えする。
「昼間の混雑したカフェや狭い鰻屋で呑むビールと、夜に私どもの広めのお席で呑むビールの何が違うんでしょう。ウイルスが時間を読むのかしら」
そう訴えるのは銀座の高級クラブ『ル・ジャルダン』の望月明美ママだ。経営する銀座の4店舗に、約300万円をかけて感染対策としてサーキュレーター(空気循環器)や滅菌器などを導入した。店の前には消毒液を染み込ませたマットを敷き、靴の裏を消毒できる仕組みも作った。
「そもそも銀座のクラブは、お店がお客様の身元を把握しています。“昼の店”のほうが、不特定多数のお客様を迎えている。都のガイドラインだけでなく、水商売ならではの感染防止対策リストを徹底している“夜の店”のほうが、ある意味、安全なのではないでしょうか」
望月ママが指す「リスト」とは、接待飲食店の地位向上に向け活動する「一般社団法人日本水商売協会」が5月初旬に発表した「コロナウイルス対策ガイドライン」のことだ。マスク着用の義務から検温の実施、客・従業員の体調確認シートの記入、換気や消毒の方法、使い捨てマドラーの使用やドレスのこまめなクリーニングの奨励など、事細かに感染予防のための項目が整えられている。協会代表理事の甲賀香織氏は、銀座・六本木・歌舞伎町にある約350軒の接待飲食店に自ら足を運び、ガイドラインの周知に努めたという。
同じ銀座でも、よりカジュアルなお店ではどうか。次に向かった『Giraffe(ジラフ)』は銀座と新橋の間に位置するキャバクラ。ミニドレスに身を包んだ美女たちは、透明のマウスシールドを外さずに接客をする。新型コロナウイルスの流行を機に、同店は医療機関と契約を結び、細かな感染防止指導を受け連携を図っているという。