第2波がピークを越えたと言われ、感染者も重症者も減りつつある今、それでも「油断はならない」「また次が来る」などと危険を煽る声は止まない。その状況を「テレビによる洗脳だ」と断罪した『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』(扶桑社)が発売早々ベストセラーになっている。著者の漫画家・小林よしのり氏と、コロナ以降のネット世論をチェックし続け、新著『恥ずかしい人たち』(新潮新書)でもコロナについて多数言及したネットニュース編集者の中川淳一郎氏が緊急対談した。
中川:最近出した『恥ずかしい人たち』(新潮新書)という本にも書いたんですが、私がテレビ報道で腹に据えかねたのは、都内の商店街に行って「混んでます!」とか、海に行って「サーフィンをしている人がいます」とか言って、一般人を撮ってニュースで晒していたこと。まるで犯罪者のような扱いです。
小林:「凧揚げしている人がいます」ってのもあった。サーフィンや凧揚げでコロナがうつるか?
中川:夏休みだからと子供連れて出歩いて、うっかりテレビに撮られると、「危機感のないバカ一家」に見られかねない。
小林:そういう報道に触発されて、今度はコロナ脳の一般人が“自粛警察”を始めた。「店を閉めろ」と張り紙をしたり、他府県ナンバーのクルマを通行させなかったり。そうすると、今度はテレビがそれを撮って「こういう行為はやめましょう」とニュースで流す。まさにマッチポンプ。モーニングショーなんて自粛警察の総本部ですよ。
中川:ネットでも自粛警察が暴れ回っていて、いつもネット世論はテレビ報道に批判的なんですが、今回はテレビに同調しているので驚いた。理由を考えたんですが、原発事故のときは福島とその周辺だけの話で、他の地域はほとんど関係なかったのが、コロナは全国区だったからじゃないか。