ライフ

新型コロナ後遺症 「自律神経失調症」と診断される例も多い

退院後、体調不良のためリハビリ施設で検査を受ける元患者(イタリア、写真/共同通信社)

 新型コロナウイルスについて、本当に怖いのは回復してから待ち受ける「後遺症」だということが分かってきた。退院患者143人を追跡調査したイタリア・ジェメッリ大学病院などの研究では、回復から平均2か月の段階で、87.4%の患者に後遺症が観られた。カナダ人のウイルス専門医で、オタワ大学医学部教授のマーク・アンドレ・ラングロワさんは、後遺症が発生する原因について、3つの可能性を指摘する。

「ウイルスが細胞内に侵入すると体内の免疫反応が始動し、敵であるウイルスを分解しますが、その際、ウイルスの一部が生きたまま細胞内に取り残される可能性があります。そのウイルスの一部が活動を活発化することで後遺症が出るのかもしれません」(ラングロワさん・以下同)

 つまり、ウイルスの“死骸”が体内を汚染するという指摘である。2つめは、ウイルスが「休眠」する可能性だ。

「ウイルスの増殖スピードが遅く、体内に侵入しても、一部が休眠状態を続けている可能性があります。回復と診断された後に休眠していたウイルスが突如目覚めて再活動することで、症状が長く続くと考えられる。これは、ヘルペスウイルスやHIVでも見られる現象です」

 最後はウイルスではなく、体内の免疫反応が後遺症を招く可能性だ。

「ウイルスを攻撃するために過熱状態になった免疫反応が正常な細胞まで攻撃して、長期的な症状が発生している可能性があります」

 注意すべきは、国内の医療現場で新型コロナの後遺症が見逃されがちなことだ。ヒラハタクリニック院長の平畑光一さんはいう。

「後遺症が直接命にかかわることは少ないので、感染症対策に追われている現場は重症者の治療を優先しがちです。これまでにない症例だから診断がつけられず、その場しのぎで『自律神経失調症』などと診断されるケースも多い。しかし後遺症によっては、対応が遅れると徐々に体力が奪われ、症状が悪化する恐れがあります。特に地方は感染者が少なく、コロナを疑いにくい状況のため後遺症を見逃しやすい」

関連記事

トピックス

モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン