いよいよ夏競馬もフィーナーレ。せめて馬券で大花火を打ち上げたいものだが…。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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先週8月最終週の札幌競馬は、土日とも1番人気馬が全敗だった。
とくに日曜の1番人気馬は2着が1頭のみで3着もゼロ。馬連はすべて1000円以上。「今日は荒れているなあ」と思っても、1番人気が全敗というのはそうそうあるものではない。昨年は確か3回ほどだけではなかったか。8月8日の新潟も1番人気は全敗。9日、23日、29日、さらに29日、30日の小倉でも2勝しかあげられていない。
無観客競馬が始まってから3月下旬までの2回中山、1回阪神、1回中京では1番人気馬の勝率は.368。クラシック第1弾があった3回中山と2回阪神も.354、天皇賞(春)からダービーまで毎週GⅠが開催されていた時期(2回東京、3回京都、1回福島、1回新潟)でも.320。
かつて当サイトのコラムでこう書いた。
《「観客」の圧力がないことで、1番人気馬はリラックスできたのかもしれない。》
他の競馬メディアや一般紙でも、そんな論調のコラムを読んだ記憶がある。
1番人気馬は6月の3回東京、3回阪神、1回函館でも3割はキープしていた。ところが6日間開催となった7月の2回福島、4回阪神、2回函館の216レースではなんと.282。7月下旬からの新潟、札幌、小倉開催はあと1週を残しているが、1番人気馬の勝率は.280に留まっている。
春の競馬シーズンが一段落した夏のローカル競馬、という要素もあるのだろうかと、昨年7月6日から21日の6日間の福島、中京、函館の結果を見てみた。すると6日間計216レースで、1番人気馬の勝率は.375。今年より20も勝っている。
ところで、無観客競馬で人気の要因になっているのはなんだろう。
まずは前走までの実績、レース内容。これはファン各自の記憶に残っているものもあれば、「参考レース」などで確認するものもあるし、血統などが加味されることもあるだろう。中間の状態や調教、さらに厩舎の意気込みなどは、スポーツ紙や専門誌紙で仕入れる。最近ではネットによるデータ分析や記者独自の情報なども参考にするだろう。
またグリーンチャンネルでの「パドックからの推奨馬」でも多少動くかもしれない。ただそれらは、読んでいる新聞や解説者によって違うので、大きなベクトルになるとは言い難い。印は競馬記者が話し合って決めているわけではないし、ファンは競馬記者の印通りに馬券を買ったりはしない。
「無観客競馬」が当たり前になってしまった今、一般の競馬ファンに最も簡単に飛び込んでくるデータは「騎手」のような気がしてならない。リーディング上位騎手と有力馬が敏腕エージェントによってマッチングされていることはみんな知っている。
なかでもルメール騎手と川田騎手の成績はズバ抜けている。8月終了時点での勝率はルメール騎手が.261、川田騎手が.282と3位の福永騎手(.178)以下を大きく引き離している。連対率はともに4割超で、これも3位以下の騎手より1割以上高率だ。