スマホの普及により、非常に身近になった写真撮影。時に写真は目で見る以上に美しく、魅力的な世界を見せてくれることもある。フォトエディターの板見浩史さんはこう話す。
「たとえば、被写体を大きく写せるマクロレンズで花を撮ると、繊細な雌しべや雄しべの姿が美しく写し出されます。また、絞りと呼ばれるF値を調節すると、背景をぼかして強調したい部分にピントが合う印象的な写真が撮れます。単に風景を切り取るだけでなく、自分が表現したい、人に見せたい写真が撮れる。するとどんどん楽しくなり、見慣れた風景や道端の花にも目が留まるようになります」
板見さんが審査員を務める写真コンテストなどで、人気のテーマは“祭り”だという。
「やはり、人は人間に興味があるんです。いまは他人を撮るのが難しいご時世ですが、祭りだけは例外。みんなが盛り上がって、すべての人が主役。高揚した雰囲気の中に自分も入り込み、気持ちを高めながら撮ると本当に楽しいのです。それが写真にも表れる。撮影後“ストレスが解消した!”という人も多いです」(板見さん・以下同)
自慢の写真をコンテストに出したり、家族や友人と共有したり、写真は社会との接点、コミュニケーションツールにもなるのだ。
「小さいお孫さんやペットは、グッとカメラを下げて同じ目線で撮ると、表情豊かにかわいく撮れます。少々足腰がキツいかもしれませんが、これも普段の目線では見られない写真ならではの楽しみ」
板見さんが理事を務めるフォトカルチャー倶楽部にも多くのシニア会員が在籍し、写真教室やコンテストが行われているという。
「進化が著しいカメラ製品の情報交換や、撮影技術を先生がたに質問するなど高齢のかたがたはとても熱心。老化防止にもひと役買っているのではないでしょうか」