総理の座を引きつけた菅義偉氏の天敵といえば、東京新聞記者の望月衣塑子氏だろう。厳しい質問を繰り返しぶつける望月氏と、正対せずにあしらう菅氏のやりとりは“出来レース”がお決まりだった官房長官会見に新たな風を吹き込んだ。菅氏が総理の座をほぼ手中にした今、彼女は何を思うのか――。
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私が菅官房長官の会見に初めて出席したのは、2017年6月6日のことでした。淡々と進む質疑に納得できず、10分以上にわたって質問を重ねました。それから約3年間、菅さんには色々な形で質問を封じられてきました。
特に印象に残っているのは、昨年2月、加計学園の獣医学部新設をめぐる問題が会見で取り上げられた時のことです。質問をかわし続ける菅さんに「この会見は一体何のための場だと思っているのか」と問い質したところ、「あなたに答える必要はありません」と答えた。会見の場で飛び出たこの言葉が、菅さんの本質を現わしていると思います。
政治家は目の前の記者に対してだけでなく、その後ろにいる国民に向けて情報を発信しているという認識を持つべきです。この発言は、菅さんにその感覚が欠如していることを端的に示しています。
会見での質問を制限しようとする動きは、私に対してだけではありませんでした。その傾向は改善どころか、コロナ禍を盾に加速しているように感じます。たとえば、緊急事態宣言を理由に、「1社につき記者1人」というルールが設けられましたが、宣言が解除された今もそれが続いている。