「年金制度は、国民が安心して老後を過ごすために、何十年もかけて保険料を払って支えるものです。にもかかわらず、国は都合良く制度をコロコロと変える。今年の通常国会で成立した年金制度改正法もそうです。こんなことをやっていては、誰も年金制度を信用しなくなってしまいます」
憤りを隠さないのは、「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏だ。
6月5日、年金制度改正法が公布された。コロナ禍のどさくさの中、ろくに議論もされないまま、どのような制度変更が決められたのか。自らの老後を守るために、その内実を知っておく必要がある。
「このままでは超高齢化によって年金制度が破綻することは明らかで、厚労省の最終目的は、現在65歳の支給開始年齢を67歳、68歳そして70歳へと段階的に引き上げていくことにあるとみて間違いない。改正の内容を見ても、保険料をなるべく多くの人に、なるべく長く負担させ、逆に国からの年金支給はなるべく先延ばしにしたい意図が透けて見えます」
保険料は厳しく取り立てる一方で、年金の支給は渋る──「年金カット」という国家的大方針が改正法の背景にあるというのだ。それならば、国民はすぐにでも対抗手段を講じ、老後資産を守る必要がある。