2022年5月以降、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入可能要件などが大幅に緩和されることが決まった。
公的年金とは別に、加入者個人が毎月掛け金を勤め先の会社や金融機関に積み立て、投資信託などで運用して60歳以降に受け取る「じぶん年金」の拡充である。
具体的には、これまで原則60歳までだった掛け金の拠出期間が、企業型は70歳、iDeCoは65歳まで延長される。加入期間が長くなるほど、将来受け取れる額が増えることが期待できる。
ただし、掛け金を払い続けるには当然、働き続けなくてはならない人がほとんどだ。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏は、そこにこそ国の隠された意図があるとみる。
「過去の受給開始年齢引き上げの例では、政府はそれに先立ってまずサラリーマンの定年を引き上げています。この通常国会では、来年4月から70歳まで就業機会を確保するよう企業に努力義務を課す高年齢者雇用安定法改正案も可決・成立しています。70歳まで働かせて、年金受給も70歳からにするための外堀を埋めているわけです。確定拠出年金の加入年齢上限を引き上げたのも、同じ文脈ととらえられる。
現在、厚生年金に加入できるのは70歳までですが、そのギリギリまで働かせて、保険料をなるべく長く払わせる狙いがあるといえるでしょう」