「トランプ家は、家族として機能しないほど崩壊していました。ドナルドという人物は、そんなトランプ家が産み落とした“怪物”なのです」
そう語るのは、ドナルド・トランプ米大統領(74才)の姪で臨床心理学者のメアリー・トランプ(55才)。叔父であり、世界中から注目される自国のリーダーであるドナルドに対して、彼女の言葉は冷ややかだ。
「ドナルドはその家庭環境から、『喪失』『恐れ』『孤独』といった感情を植え付けられていきました。それらに打ち勝つための強い防御意識が、彼の深層心理に定着し、彼のような人格が出来上がったのです」
表情は常に自信満々、誰に対しても上から目線、時に暴言とも取れるセンセーショナルな発言で耳目を集め続けるドナルド。よほど“人生負け知らず”でないと、そこまで自信と自己肯定感の固まりにはなれないのではないかと思える。しかし、その姿を近くで見てきた姪は「彼が精神的虐待を受けてきた結果だ」と指摘する。
メアリーは「ドナルドが大統領を2期務めれば、アメリカの民主主義は終わる」と警鐘を鳴らす。そんな「危険な男」の原点とは──。
11月3日の米大統領選挙まで2か月を切った。新型コロナの感染拡大と経済混乱、黒人差別問題など課題が山積、アメリカではかつてないほど政治的関心が高まっている。
「7月の選挙戦当初、世論調査では対抗馬である民主党のジョー・バイデン前副大統領(77才)が、トランプ氏に大きく差をつけてリード。バイデン氏の圧倒的有利と思われていました。しかし、8月末に行われた調査ではトランプ氏が僅差に追い上げ、8ポイントあった差は2.5ポイントまで縮まりました。まだまったく結果が読めない状況です」(在米ジャーナリスト)
再選に向け、意気軒昂なドナルド。しかし、そんな彼の「急所」となる本がアメリカで7月14日に発売された。ドナルドの兄の長女で、姪にあたるメアリーが記した『Too Much and Never Enough』だ。数あるドナルドの関連本の中でも、「初の身内による暴露本」として大きな注目を集め、9月上旬時点で全米で190万部を突破。その邦訳本が9月15日、日本でも緊急出版された。邦題は『世界で最も危険な男』(小学館刊)だ。
日頃は怖い物知らずのドナルドも、この本には反応せざるを得なかった。 発売直後には《彼女(メアリー)は私のことをほとんど知らない。頭が混乱している人物だ》とツイッターで批判。さらに、発売直前にも、“攻撃”を仕掛けていたという。
「トランプ氏は暴露本の出版阻止に動いていたといわれています。出版前、トランプ氏の実弟・ロバート氏が裁判所に出版の差し止め請求の訴えを起こしました。ただ、当時ロバート氏はICUに入るほどの深刻な病状で入院中だった。そんな瀕死の弟を退院させ、差し止め請求をさせたのがトランプ氏だったそうです」(前出・在米ジャーナリスト)
ドナルドが色をなして同書を闇に葬り去ろうとしたのは、そこによほど“明かされたくないこと”が綴られていたからにほかならない。
暴露本ではドナルドの脱税や替え玉受験を指摘するだけでなく、メアリーによるドナルドの人格分析がされている。
「ドナルドは、他人とうまくつきあう能力を欠いた『社会病質人格障害者(ソシオパス)』です。世の中に出て他者とまじわって生きていく力は損なわれ、彼は常に孤立していました」
要因となったのは、彼が生まれた“トランプ一族”にあるという。