60歳以降の賢い働き方の“常識”を逆転させる
むしろこの在職老齢年金の見直しをきっかけに、「60歳以降の賢い働き方」の常識が一変することを知っておきたい。その変化を踏まえて対策を講じなくてはならない。
これまで、年金カット基準が厳しい60代前半のうちから年金満額受給を実現するテクニックとして、会社に勤めて厚生年金に加入する働き方をやめて、同様の収入が得られる仕事を業務委託などフリーランスの立場で請け負うというやり方があった。
社会保険労務士の北山茂治氏が説明する。
「厚生年金に加入しない働き方なら、いくら稼いでも年金カットにはならない。そのため、会社に雇われない働き方が得とされてきたが、年金カット基準が緩和された上に、特別支給の老齢厚生年金を受け取れない世代が60代に差し掛かるようになり、常識は逆転します。
今後は、できる限り長く会社勤めで働く方法を探るのが賢い選択となります。在職老齢年金のカットを気にしなくていい以上は、雇用保険や労災保険への加入など、会社勤めのほうがメリットは大きくなる。60歳以降、あるいは65歳以降も会社勤めで働く選択肢が持てるようなキャリア形成をしておくことが望ましいといえます」
※週刊ポスト2020年9月18・25日号