出版差し止め訴訟も起きた「大統領の姪」執筆の告発本がついに日本上陸。全米190万部のベストセラーは、いったいどんな本なのか?
「祖父は社会病質者(ソシオパス)だった。その子どもたち、5人のきょうだいのなかに無傷ですんだ者は一人もいないが、叔父のドナルドと私の父フレディはほかの3人よりも多くの苦しみを受けた。ドナルド・トランプの精神病理と行動機能障害の意味を完全に解き明かすためには、どうしても家族の歴史をさかのぼって詳細に見ていく必要がある」
全米ベストセラーの邦訳『世界で最も危険な男「トランプ家の暗部」を姪が告発』(小学館)の一節だ。同書の著者は、米国大統領の姪メアリー・トランプ氏。臨床心理学の博士号を持つ著者が、強権的な祖父フレッドの支配下で父フレディが不遇な生涯を送り、叔父ドナルドが危険人物に育っていった経緯を赤裸々に描いている。
「男はタフでなければいけない」──それが、フレッドが君臨するトランプ家の大原則だ。そのためなら「嘘をついてもかまわない。自分が間違っていると認めたり謝ったりするのは弱虫のすることだ」と考えるフレッドが後継者として選んだのは、長男のフレディではなく、次男のドナルドだった。
「『無敵の男』を目指すドナルドの姿勢をフレッドは気に入っていた。ドナルドの規則違反や逸脱行動は、そのどれもが、父に認められるためのオーディションになった」