巨人歴代監督の通算勝利数で川上哲治氏の1066数を抜き、歴代1位となった原辰徳監督の偉業達成にG党は祝福ムード一色だが、かつて“球界の盟主”だった時代を知るオールドファンの思いは複雑だ。
「原と川上さんの『監督力』を比べたらやっぱり川上さんのほうが上でしょう」(76・元自営業)
「原監督の功績は認めるが、V9時代の強さには敵わない」(68・元会社員)
一方で『監督 原辰徳研究』を上梓した野球評論家の江本孟紀氏(73)はこう評価する。
「V9時代に比べて劣る現在の戦力で、歴史を塗り替えたのだから、原監督は川上監督を超える名将と言っても過言ではない。昨季、丸(佳浩)は不調、菅野(智之)は規定投球回数に届かないなかで優勝できたのは、原監督の采配力です」
では、指揮官としての川上氏を知るかつてのV9戦士は、原監督の戦いをどう見ているのか。
川上政権でローテーション投手として69勝を上げ、V9後半は投手コーチとして川上監督をサポートした中村稔氏(81)が語る。
「川上さんの作戦は『石より堅い』と言われたほどで、それが勝利へと繋がった。原監督は巨人の伝統を知っている弟分を使いながら、柔軟な采配をしている。今季獲得したウィーラーのポジションをレフト、セカンド、ファーストと変えたり、吉川(尚輝)と重信(慎之介)、増田(大輝)の快速トリオには果敢に先の塁を狙わせる。川上さんには及ばないと思うけど、今の12球団で試合運びが一番うまいことは間違いない」
※週刊ポスト2020年10月2日号