コロナ感染拡大に伴う人の移動制限が徐々に解除され、9月19日から始まる4連休は久々にクルマで遠出を予定している人も多いだろう。いま、高速道路にあるSA(サービスエリア)とPA(パーキングエリア)は、単なる休憩ポイントではなく、敢えて立ち寄りたい人気スポットになっている。そんなSA/PAの進化の歴史と新潮流について、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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高速道路にあるSAとPAには、レストランやフードコートが用意されています。最近では、どこのSAやPAにも、独自の凝った料理が用意されていますが、20年も時代をさかのぼれば、まったく状況が変わります。
その昔の高速道路のSA/PAの料理は、どこに行ってもメニューと価格は同じで、さらに味までも同じだったのです。なんとなく同じではありません。定期的に検査が入り、厳格に味が統一されていたのです。これは、当時のSA/PAは日本道路公団という公的機関、つまりお役所が運営していたのが理由です。
彼らとしてみれば、「全国、どこで利用しても均一。平等なサービスを提供する」という考えがあったのです。確かに、まだまだ自家用車が珍しい存在で、高速道路の利用もスタートしたばかりの時代には、そうした均一なサービスが求められていたのでしょう。しかし、バブルの好景気時代を経て、人々の舌が肥えてくればニーズも変化します。
そんな日本道路公団に一大転機が訪れたのは、2005年の民営化です。ここで方針は一転。民間らしく、SAやPAごとに個性を出して競争しようとなったのです。ここから、徐々に食事の質は高まってゆきます。毎年のようにSAとPAの料理コンテストが開催され、料理人やスタッフのモチベーションも高まります。さらには、有名チェーン店やコンビニなどの参入も相次ぎ、気が付けば今のような大盛り上がりのSA/PAができあがってきたのです。