巨人でエース・菅野智之に次ぐ安定感を見せていた高卒2年目の戸郷翔征(20)に、疲れが出始めてきたように見える。9月18日のDeNA戦(横浜スタジアム)では5回6失点でKOされ、4敗目を喫した。
6月19日開幕の今季、戸郷は8月まで9試合に先発し、7勝2敗で防御率1.90を記録。特に8月は4戦4勝、防御率0.37という驚異的な数字を挙げていた。しかし、9月に入ると、4日の阪神戦で6回途中5失点KOされ、11日のヤクルト戦は7回1失点と好投したが、18日のDeNA戦では再び打たれた。野球担当記者が話す。
「18日の試合では、オースティンにバックスクリーンへの特大の一発を浴び、梶谷隆幸の打球は風に乗ったとはいえ、ライトフライと思われた打球がスタンドに飛び込んだ。戸郷のボールに8月までの力がなくなっている印象です」(以下同)
開幕から順調に勝ち星を積み重ねてきた戸郷は、同じく高卒2年以内でチームの軸となった1966年の堀内恒夫(1年目)、1987年の桑田真澄(2年目)と比較される機会が多かった。堀内は開幕から13連勝、桑田は7月までに12勝を挙げ、快進撃を続けた。しかし、ともに夏場以降は勝てなくなっている。
「堀内は開幕6戦目、4月14日の中日戦で初先発初勝利を挙げた後、リリーフでの出番があっただけで2軍落ちしました。しかし、1軍昇格直後の5月30日に先発すると、1対0の完封勝利を飾ります。そこから7月27日までの間に12連勝。当時のローテーションの主流は中3日でしたし、堀内は先発だけでなく、リリーフもこなしており、まさにフル回転でした」
当時18歳の若武者とはいえ、堀内にも疲労が蓄積していた。7月31日の広島戦に中3日で先発すると、安仁屋宗八に投げ負けて初黒星。それでも、川上哲治監督は堀内を休ませることなく、中1日で8月2日の中日戦でリリーフとしてマウンドに送った。5対3とリードした9回裏二死満塁の場面で城之内邦雄の後を受けたが、3番・広野功に逆転サヨナラ満塁ホームランを浴び、わずか3日で2敗を喫した。