コミュニケーションの難しさが増している、そう感じる大人も少なくないのではないか。ハラスメントの加害者となることは誰だって避けたい。大人力について研究するコラムニストの石原壮一郎氏が分析した。
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人間は、とくに「おっさん」に分類される年代の男性は、つくづく悲しい存在です。世間でこれだけ「セクハラ」や「パワハラ」が批判されているのに、染みついた考え方を変えるのが苦手なのか、頭の中をなかなかアップデートできません。もちろん、人のことはぜんぜん言えないんですけど……。
毎日のように流れてくるハラスメント関連のニュースを見ると、客観的には「今時そんなことを!」と驚かされます。しかし、おそらく当事者は「このぐらいは許されるだろう」「俺は部下に慕われているから大丈夫」などと、自分に都合のいい解釈をしていたのではないでしょうか。そんな自覚のなさが、大きな墓穴を呼び寄せてしまいます。
仮にあなたがアウトな発言をしても、部下や取引先が「失礼ですよ!」「なんてこと言うんですか!」と明確に非難することはまずありません。そもそも、そんな親切なことをしてくれる義理もありません。多くの場合は黙ってスルーして、ひそかに怒りや恨みや軽蔑を溜め込むだけです。
しかし、あまりにも悪質な場合は、こらえ切れなくて遠回りにたしなめてくれることもあるでしょう。それは多くの場合、あなたに見切りを付ける前に発せられる「最後の警告」。意を決した抗議に気づかずに同じことを繰り返したら、しかるべきところに報告されて大問題になるなど、取り返しのつかない事態を招きます。
部下など立場の弱い相手は、どんな言い方で「最後の警告」を発してくれるのか。無自覚ハラスメントをやっているかもしれない昭和脳のおっさんとしては、我が身を振り返るギリギリのチャンスを逃さないために、「表面上はソフトだけど深い怒りが込められている最後の警告」の代表的な例をチェックしておきましょう。
【セクハラ発言に対する最後の警告】
「そういうことをおっしゃる方だとは思いませんでした」
「ニコニコしていても許しているとは限りませんよ」
「言う相手を間違えたら大問題になりそうですね」
「言っても大丈夫そうな相手を選んでますよね」
「(笑顔で)それってセクハラですよー」
【パワハラ発言に対する最後の警告】
「おっしゃっている意味がよくわからないのですが」
「今のお言葉はかなりダメージが大きかったです」
「私の飲み込みが悪いせいでイライラさせてすみません」
「もっと打たれ強くなるにはどうすればいいんでしょう」
「おっと、今のはファウルラインぎりぎりですね」
【ハラスメント発言&差別発言に対する最後の警告】
「聞こえなかったことにしておきます」
「Twitterに書いたら5秒で炎上しそうですね」
「○○さんらしからぬお言葉で驚きました」
「令和の今となってはギョッとする発言ですね」
「うーん、それはコンプライアンス的にどうなんでしょう」